2023年5月13日土曜日

実体顕微鏡用繰り出し式ディフューザー

実体顕微鏡のフォーカス部に固定しておき、必要な時に繰り出して使うディフューザーを考えました。アーム照明の光を拡散してくれるので、表面構造の観察や、三眼鏡筒を用いた標本撮影時に大変便利。

若干ワーキングディスタンスが狭くなるのと、リング照明がつけにくくなるのがデメリット。



組み付けて収納→展開しているところ


収納時→展開時。光が拡散されて表面構造が観察しやすくなっている。


収納時のワーキングディスタンスは約90mm程度。


通常のマクロレンズを使った標本撮影にも便利


用意するもの

 ・トレーシングペーパー(40~60g、A4サイズを2~3枚)
 ・プリンター(フチなし印刷可能なもの)
 ・コピー用紙1枚(A4)
 ・ラミネートフィルム(A4、100ミクロン)
 ・ラミネーター
 ・ホチキス
 ・穴あけパンチ
 ・裁断機
 ・ハサミ
 ・掲示用テープ
 ・実体顕微鏡(今回はグリノー光学系で取り付け径76mmの機体、架台を想定)

型紙(クリックしてPDFダウンロード可)


つくりかた


①型紙を印刷する
型紙の画像をクリックするとPDFがダウンロードできます(A4サイズ)。コピー用紙にプリンターでフチなし印刷してください。




②トレーシングペーパーを寸法通りにカットする
トレーシングペーパーを2枚重ね、その上に型紙を重ねて、実線部分をカットします。裁断機が便利。


③キリトリ部を切り取る
型紙に合わせ、点線のキリトリ部をハサミで切り取ります。細かい幅などは実体顕微鏡のフォーカスラックの寸法に左右されるので、実際にあてがいながら微調整してください。



④ラミネートする
トレーシングペーパーをラミネートフィルムに挟み、ラミネートします。もしかしたら寸法的にギリギリかもしれません。要調整。




⑤部品を切り出す
ラミネートフィルムの余白を考慮しつつ、紙の形どおりに部品を切り出します。ラミネートフィルムに空気が入ると完成品が歪むので注意。


⑥パンチ穴をあける
内側の部品に型紙を重ね、パンチ穴をあけます。一つ穴パンチがあると便利。



⑦内側の部品を顕微鏡に仮組み付けする
パンチ穴をフォーカスラックの正面のネジ穴に合わせ、ネジを締めます。内側の部品を円形に丸め、キリトリ部分の寸法が適合するように端を重ねます。適当な位置でのりしろをホチキス止めしてください。
(手元のフォーカスラック(Wraymer製、OLYMPUS製)に適合するように設計図を作っています。大抵の製品には適合するのではないかと思います)


⑦中間と外側の部品を重ねる
中間の部品と外側の部品を丸めます。径が内側<中間<外側になるように、かつそれぞれのクリアランスをギリギリに保つように丸めること。適当な位置でホチキス止めをします。内側、中間、外側の順に重ねていき、うまくスライドできるか確認してください。




⑧ホチキスでストッパーを作る
うまくスライドできるように部品が重なったら、いったん外します。重ねた状態で外側の部品を引っ張った時にすっぽ抜けないように、ストッパーを作ります。重ねてスライドさせたときに、「2つ出っ張る方」どうしが干渉するようにホチキス止め(図面通りに3つ並べて)をします。



⑨顕微鏡に据え付ける
干渉するようにうまくストッパーができたら、内側の部品を外し、⑥の手順のように顕微鏡に組み付けます。掲示用テープを所定の位置に貼り、顕微鏡のフォーカスラックと圧着して完全に固定します。中間の部品と外側の部品を重ねて取り付けて完成!


光源の位置が自由なアーム照明では、多彩なライティングが可能です。作業と観察を両立したこのディフューザーを是非ご活用ください。もっと改善の余地があると思いますので、お気づきの点はコメントしてくださるとうれしいです!

2023/5/13 第1版
2023/5/14 第2版(型紙をリメイク、DL可に)

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